プロローグ

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プロローグ

小さな頃からデジャブを経験する事が良くあった。 大抵は、「あぁ、夢で見たんだ。」と思う。 その場面だけを夢で見ているのだ。 一年以上前に。 一年以上前だから役にも立たない。 忘れているのだし、思い出した時にはその場面は過ぎていて、未来は変わらない。 (覚えていたら少しは未来が変わるかもしれないのに…。) そんな風に思った事が何度もあった。 アイスを食べて怒られた後、言ったひと言で母がさらに怒った時。 言わなければ怒られずに済んだ。 もっと早く思い出しさえすれば、そのひと言を飲み込んだのに…と。 役に立った事が一度もない。 普通の両親、普通の家庭に育ったと思っていた。 母が良く怒る様になったのは、父に愛人がいたからだと中学生になって話をされ納得した。 その時には普通の家庭は終わりに近付いていた。 両親は離婚して、私は父に引き取られた。 当然、愛人を「母」と呼ぶ様に言われた。 高校を卒業と同時に家を出た。 当然と言えば当然の選択だと思う。
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