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32.☑
帰ろうと思ったのだが……
由宇子には先ほど赴任先での女子社員から世話になった時のことを
何故部屋に入れたのだと責められてしまったこともあって、
改めていろいろと当時のことを思い出し、あれもこれももしかして
離婚される原因だったのだろうかと思い始めると聞かずには
いられなかった。
「なぁ、赴任する少し前に来た匿名の手紙の件、あれももしかして……いや
あのことは、ちゃんと説明したのだし理解してもらえてたと思ってたけど
俺の独りよがりだったりするのか?」
「そうよ独りよがりだった。
どうしてそんなに無防備なの?
どうして妻を不安にすることを仕出かすの?
当時のあなたの言い草を思い出すだけでなさけないわ。
得意げにオウムのように何もなかったばかりを言うのではなくて
反省の言葉を述べて次からは気をつけるすまなかったと言ってほしかったわ。
それにね、女房思うほど亭主モテもせずって確かにそんな夫たちも
いるけれど自覚がないのか、ない振りをしているのか知らないけど、
あなたは昔から女性にモテるじゃない。
結婚してからだって結婚指輪しているあなたに粉をかけてくる
女子社員は少なからずいたはず。
会社にいない妻に何が分るんだとか、舐めない方がいいわよ?
もう今更なことだけどね。
案外妻ってそういう情報網持っててよく把握してたりする
もんなのよ?」
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