車中の腐女子

　空いた電車の中。
　私はロングシートの端っこに座り、スマホでＢＬコミックを読む、誰あろう腐女子。
　ジェンダーに囚われない美少年同士の欲望の発露に触れ、これいい、よいちょまる、あげまる水産とか思って有難く思うのは腐女子あるある？
　また、美少年同士のピュアな熱愛に触れ、尊い、何これ、めっちゃ泣けるとか思って涙ぐむのも腐女子あるある？
　でも、これってスピンオフやんと気づいて損した気分になるのも腐女子あるある？
　そんなこんなを思う内、電車が駅に停車すると、いきなり座れるじゃん！超ラッキー！と言い合う声が・・・
　若い男子二人組が入って来たんだわ！
　私はときめいてスマホから目を放し、上目遣いで斜向かいの席をちらっと見ると、うわあ！むっちゃすご～い！超イケメン二人組！と見て取り、テンション上げ上げになっちゃった。
　私はどきどきもんで一旦、下げた目線を上げてみると、二人がスマホの画面に見入っているのが分かり、その儘、二人を見続けることが出来た。
　手を握り合っている。
　紛れもなくボーイズラブ。
　キュンキュン！