罰ゲーム

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 好きで好きで仕方なかった人に告白されて、夢見心地だったお付き合いは、ジクジクと僕の胸を痛めたけど、原因は全て僕の勘違いだったって事と、彼なりの照れを見てなかった僕のせいだった。 「ちゃんと言葉にしなかった俺が悪い」  ごめん、と言った彼に、僕の方こそ彼に酷い事をしていたんだと謝った。  嬉しくて恥ずかしくて顔が見れなかった。ドキドキしすぎて話しかけられなかった。伸ばした手は何度も引っ込めた。  それから嫌な顔をしてると思って彼の顔を見るのが怖くなった。話すと嫌われると思うと声を出す事を躊躇った。ぎゅっと握った手は頑なに太ももから離さなかった。  彼が悪いわけじゃない。僕だってあの日『罰ゲーム』の事を聞かなかったらこんな事にはきっとならなかった。  彼の友達だって悪気があったわけじゃない。彼らがいなかったら、僕は彼と付き合う以前に挨拶すら出来なかったと思う。  彼とは今日から改めてお付き合いをすることになりました。  これからはもっと話そう?と言う彼に、もっと僕を見て、とはまだ言えなかったけど。  いつか・・・、いつかそう言える日が来ると良いな。  そう言える日まで一緒にいられるように、話す努力を惜しまないようにしよう。  出来れば早い段階で彼の顔を恥ずかしがらずに見られるようになればいい。 了
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