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ある日、小学校で同じクラスの若菜が、教室に飛び込んできました。遅刻でもするように。
「どうしたんだ、若菜? 遅刻でもしてきたのか?」 山富士先生がふざけて尋ねました。
「そんなんじゃない、やまふじ。」 若菜は言いました。
山富士先生は、校長先生ですが、呼び捨てにされても、怒りません。
山富士先生は、ちょっと変わった人です。
先生は、痩せっぽっちで、
毎日、上下、青色のジャージを着て、学校にいます。
先生は、校長なのに、校長室や職員室にいないで、いつも生徒の教室ばかりに、顔を出します。
そして、おもしろい不思議なことを、いっぱい言うんです。
うちのママは、山富士先生の事を、いつも何が言いたいのか、さっぱり分からないと言っています。
「若菜、何があったの?」 エリーが尋ねました。
「学校の裏山で、幽霊が、目撃されたんだって!」
若菜は答えました。
「幽霊が、目撃されたって本当?」
二階の教室から、和夫とクラーク博士が、走って駆け込んできました。
二人は騒ぎを聞きつけて、尋ねにきたのです。
「三年生のしなちくがそう言ったの。」 若菜が答えました。
しなちくは、一年前、シナ地区という所から、引っ越してきた、外国出身の 男の子 の生徒です。
「なんだ、しなちく が言ったのか。じゃあ、ウソだ、」和夫は言いました。
しなちくは、
まだ日本語がそんなに話せないので、間違った言葉をたくさん話すのです。
「聞き間違えたんじゃないの?」
私は尋ねました。
「ううん、そんな事はない。本当にそう言ってたもん。」 若菜はためらいながら言いました。
「先生も見たよ。昨日、学校の裏山で、目撃されたんだ。」
山富士先生が元気よく言いました。
でも、その後はあまり話を聞いていなかったようです。「······ええっと。ナニが発見されたんだっけ?」
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