やまびこ、学校へいく

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時間が来て、私たちは、 学校に出かけました。 私とクラーク博士は、 赤と青のおそろいのスニーカーをはいて、 やまびこは、素足で行きました。 すると、おかしな出来事が起こりました。 「ねえ、見て、クラーク博士。あの、足あと。」 私はそう言いました。 「やまびこが、歩いた後から、地面に草が生えてきてる。」 「おお、すごいぞ!何が生えてきてるんだろう。」 クラーク博士は、珍しい植物とか、そういう類のものが、大好きなんです。 だから、いきなりランドセルの中から、ルーペを取り出して、 おおはりきりで、その謎の草を観察し始めました。 「双葉が生えてきてる。」 クラーク博士は興奮して言いました。 「まだ新芽で、ほら、こんなに柔らかい。」 おかしなことに、やまびこの踏んだところから、新しい芽が生えてきました。 今までなんにもなかったのに。 「本当ね。まだ柔らかいね。」 私も生まれたばかりの双葉を触りながら言いました。 やまびこの、この魔法の草は、固い土からは生えてこないけど、柔らかい土からは生えてきました。 やまびこは鼻歌を歌いながら、気持ち良さそうに、 野原を歩いて行きます。 クラーク博士は、標本を作る用に、 2、3本の芽を摘んでいきました。 学校へ着く頃には、 あら、不思議。 採集のために摘んだ芽は、 茎も根っこも、 大きくにょきにょき成長して、 たくさん葉っぱをつけていました。 「あなたが歩くと、魔法みたい。」  私は、すっかり感心して、やまびこに、そう言いました。 「オイラが歌を歌うと、よく伸びるんだ。」 やまびこはそう説明して言いました。
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