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そうしてこの日は二つのテントに分かれて、就寝した。
そして朝を迎えて目が覚めると、チェルナーはいなくなっていた。
「チェルナーさま?」
寝るときは隣同士で手を繋いで寝た。それなのにチェルナーが寝ていた場所はぽっかりと空いていた。
あれは夢だったのだろうか。
そう思っていると、外から騒がしい声が聞こえてきた。
「わらわがイーラにあーんしてあげるのじゃ!」
「チェルナーさまにそのようなことをさせるわけにはいきません」
なんだか不穏な空気にイーラは手早く着替えて、テントを出た。
「おはようございます」
「おお、イーラ! わらわが今、ご飯を食べさせて」
「チェルナーさま、自分で食べられます!」
「わらわは未来視でシモンとエミルが二人がかりで食べさせているのを見たのじゃ! だからわらわが今、するのじゃ」
それ、どういう状況? とイーラは思ったが、丁重に断り、シモンが用意してくれたお皿を受け取り、自分で食べた。
「それで、相談なのですが」
ご飯を食べた後、イーラは男三人とチェルナーを見た。
「わたしのこの癒しの力がいつまで使えるか分かりませんが」
「なんじゃ、そんな心配をしておったのか。それはわらわがイーラに授けたギフトじゃ。生涯、なくなるものではない」
「そう……なのですか?」
「ちなみに、子どもにも遺伝するものじゃから、たくさんの子を作るとよい」
「チェ、チェルナーさま!」
「ここにおる男どもはみな、イーラのことを愛しておる。子作りに励むと良い」
チェルナーのとんでもない言葉にイーラは真っ赤になったが、顔を上げて、三人の顔を見た。
「あの……わたしについてきて、くださいますか?」
「もちろんだ」
「そのために神殿を出たのだからな」
「イーラと子作り……」
一人、なんだか妄想しているのがいるが、イーラは無視して、続けた。
「住むところを見つけたり、その前に生活の糧を手に入れるためのお金を稼いだり……その、色々と大変なことをさせてしまうかと思いますが」
「そこはイーラは心配しなくていい」
きっぱりと言い切るエミルにイーラは首を傾げた。
「イーラは人々をどうやって癒していけばいいかだけを考えていればいい」
心強い言葉に、イーラはエミルに抱きついた。
「はいっ」
「私は?」
「シモンはその、尊くて」
「では、私から抱きしめよう」
そう言って、シモンはイーラを抱きしめた。
「あれ、オレは?」
「トマーシュはヤラシイから駄目です」
そう言いつつも、イーラはトマーシュに手を差し出した。トマーシュはイーラの手を取ると、指先にキスをした。
イーラは信頼する男三人に囲まれて、ああ、これが癒されるということなのだな、と心から思った。
【終わり】

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