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「来年は外で過ごそうな」
志穂さんの一件後バタバタして、ゆっくりしたかったのはお互い様。
晴夜くんと過ごせるなら、何処だって構わないのに。それでも嬉しくて、自然と顔が緩む。
ローストビーフを小皿に盛りながら、ある人が胸の内を掠った。
「そういや柚木、猫猫飯店を離れるらしいぞ」
頭の中を読まれたみたいに、ビクッと肩が跳ねた。
「お店を辞めちゃうの?」
「いや、県外で修行するらしい。腕を磨いてから、戻ってくるってさ」
「そっか……。頑張って欲しいね」
沢山迷惑を掛けて、助けて貰ってばかりだった。柚木さんに幸せが訪れますように……と、こっそり祈る。
「また猫猫飯店に戻ってきた時は、2人で食いに行こう」
晴夜くんはきっと私の寂しさに気付いて、誘ってくれたんだ。以前の犬猿の仲だった2人が浮かび、酷く懐かしくなった。
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