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「……お菓子ありがとう」
唇が離れると、森島先輩は私の耳元で囁き、口を開けて飴をチラッと見せてきた。
あっ、私の口の中にあったはずの飴がない!?舌を入れてきたのは飴を取るためか。
私は何が起きたのか分からず、思考停止したまま赤面する。
「この後飲みにでもって思ったけど、柚木さんって気持ちは10代って言ってたからお酒飲みに誘うの辞めとくね。あと、飴貰ったからイタズラも辞めとく」
Sっ気たっぷりのその笑顔は何ですか!?
朝の会話聞いてたんですか!?
これって私が森島先輩の事好きなのバレてませんか!?
っていうか、今のキスはイタズラではないんですか!?
聞きたい事はたくさんあるけど言葉が声にならず、私は口をパクパクさせる。
「柚木さんは可愛いね。じゃあ、また明日」
そんな私を見ながら森島先輩は笑顔のまま私に手を振り、先に帰ってしまった。
1人になった私は、腰が抜けたかのようにそのまま床に座り込んだ。
嘘でしょ。何これ、ハロウィンマジックとか?
私が知ってる優しい森島先輩とは違う一面を見た。これが素なのかな。
そんな姿見たら森島先輩の事……余計好きになっちゃうじゃないですか。
私は居なくなった先輩の方を見て呟いた。
「Happy Halloween」
ーー END ーー
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