鬼の目にも涙

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「そんじゃあ、そういうことでよろしく。今度はお饅頭が食べたいな♪」 そうか。二度と来るな。 「じゃあねぇ♪」 なにが♪だ。腹立つんだよこの♪が。 じじいの食い散らかしたせんべいや湯呑みを片付けながら、思案する。 (まぁ俺様の忙しさも少しは緩和されるかもしれんな。) よし。天国に行く奴を適当に見繕うか。 しかし、どうやって決める? 単純に罪が軽い奴から順に送っていくか? だがそれだと問題があるか…。 「えっ?この罪の量なら天国行きだったんですか?それならなぜ私は地獄に落とされたんでしょうか?これまでの責任取れやこら。」 「あいつが天国に行けるんならワシも行けるじゃろ!ワシも連れてけ。」 「わーわーわー!」 そんな流れになったら面倒だ。地獄に落ちるような奴らだからな…。変な言い掛りをしてくる可能性が大いにある。 まぁそんなことを考えていても仕方ない。とりあえず地獄を歩いてみる。 住民が何人か集まっている。 どうやらカーリングをしているらしい…。 カ、カーリング??? まぁいい…。それとなく話し掛けてみるか。 「天国のじじいが地獄から何人か人を連れてこいと行っている。」 直球過ぎたか…? 住民共はどんな反応するだろうか…? 「やれやれ…。では私が天国に行きますか」 一人のじじいが言った。 「いえいえ。私が。私が行きましょう。鬼王様にはお世話になりました。だから私が鬼王様のお役に立ちたい。」 一人のじじいが言った。 「私こそ。ふさわしい。」 一人のじじいが言った。 「じ、じゃあ俺が。」 一人のじじいが… 「お前らうるさいわ。針1万本飲みの刑。逝ってこい。」 「いやーーん」 近くを散歩していた鬼に泣き叫ぶじじい共を捕らえさせ俺様の城へ連れていかせた。 さて、誰にしようか…。
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