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「そもそも薫は、何で透明が嫌で白に憧れてるの?」 「透明は無いのと同じだから、白ならどんな風にも変われるし、どんな人でも変えられる」  兄によると、人間に感じる色は人との関わりなどによって交わり、変わっていくのだという 優しくなればオレンジにより、冷たくなれば水色により、悪人と関わると濃い紫によるらしい 「透明だって同じじゃない?絵具だって水を足したら薄くなるじゃん」 「違うよ、水を足しても元の色の密度が下がるだけで色そのものは変わってない。元が青だとしたら、透明を足しても水色にはできない。 私はただ人の色の密度を下げてるだけ。いてもいなくても大差ない」 「でも、私は薫から影響受けてるよ」 「気のせいだよ、恭子は私のと出会う前から昼は立ち入り禁止の屋上にいたし、私と出会う前からそんな性格だったでしょ。私も同じ、恭子と出会う前も出会った後も何も変わってない。ただ一緒にいるだけ」
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