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私はいつも通り、屋上で薫を待ってる
ガチャリ
「あれ、恭子早いね」
お昼休みが始まって直ぐに薫は現れた。にもかかわらず、既に待ち構えていた私に少し驚いた様子だ。
私は四限目をサボってまで、薫より先に屋上へ来た。薫を驚かせる為に
「ねえ薫、」
それ以上は言わなかった
ただ、期待を込めた笑顔の様な、悲しみの様な、そんな思わせぶりの表情を浮かべて見せる
「恭子?」
私はゆっくりと、手すりへと向かう
三歩、たったそれだけの距離を、振り返ろうとする自分を押さえ付けながら
落下防止用の手すりへと足を掛ける
両手、右足、左足と
私の全体重が手すりに乗り掛かる
ゆっくりと、そして慎重にお尻を上げていく
手を離して体を起こし、足を伸ばし切ると、広い海岸線がまるで絵画の様だ
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