6月9日 僕の大切な友達

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石畳はひんやりとしてとても気持ちいい。 僕らは寝転んだまま、いろいろなことを話した、好きなもの、好きなこと、昔のこと。藤友君は8歳くらいまでのことしか話してくれなかったけど。 そうしているうちに、だんだん東の空が薄い藍色から橙色、濃い美しい赤になり、そして再び青く澄み渡るのを、僕らは黙って眺めた。 新しい朝が来る。その光の変化はとても幻想的で、太陽の光が当たったところから世界が美しく煌めいていくのを感じた。 「日の出を見るのは初めてだ」 「きれいだよね」 藤友君が買ってきてくれた缶コーヒーをカツンとあてて、太陽とあたたかな1日の訪れに乾杯する。 太陽が海から足を離してうまく飛行を始めるまでたっぷり待って、僕らは山を降り、日常に帰還した。 体育祭の翌日の今日は日曜日。僕は昼過ぎまでたっぷり寝坊を楽しむ。正午を回って起きたときには、また雨が降り始めていて、ぱらぱらとした音が窓にあたって跳ねていた。 僕は恒例になった赤司れこのTwiterを開いたけど、今日はつぶやかれていなかった。もともと毎日つぶやいてはいなかったからなぁ。昨日僕が送ったコメントにもレスはなかった。 今回はすごく助けられた。情報はなんだかとても断片的だったけど、このTwiterがなければ『外骨格』から逃げようとは思わなかったもの。 ありがとう、赤司れこ。 そのうちお礼をしないといけないな。 次話【第5章 俺の日常と梅雨の幽霊 奇妙な物体】 https://estar.jp/novels/25731527 【完結保証】全話UP済 (10/31~11/15 各日18:10更新) 4章お読みいただきまして、誠にありがとうございました。 5章は4章の対になる話として作成しました。引き続きお読みいただけると嬉しいです。 【第5章あらすじ】 梅雨の始まり。ある早朝、俺の部屋に奇妙なものがやってくる。一見ミノムシにしか見えないアイちゃんは俺を真似たいと言い出した。何で俺? 理由もわからないまま始まる共同生活。アイちゃんは一体何になるのだろう。 ―これは俺が再び歩き始める話。 4章は東矢一人のゆるふわ日常でしたが、5章は藤友晴希の日常(?)です。とはいえあまり藤友晴希の一人称シーンは半分弱くらいですが。 4章最終話のウキウキ天体観測シーンも藤友君視点だと闇深い感じの展開になってます。 雰囲気は2章+外伝雨谷かざりな気分です。 お読みいただけると嬉しいです。
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