6月9日 僕の大切な友達

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夏の星座はもう中天近くに登っていた。山の風が優しく吹き抜ける。 リィリィという虫の声と、シリリリリという鳥の声と、葉っぱが擦れてさわさわという音が聞こえる。それからしめった葉っぱと土の匂い。夜がふけるにつれて、夜景の明かりはずいぶん小さくなって、夜はさらに暗く、星の明かりが存在感を増していた。僕は満天の星空を見ながら夜食を食べて、藤友君はぼんやり空を眺めていた。 「星なんて眺めるのはずいぶん久しぶりだ」 「そうだね。僕は父さんと一緒にキャンプにいくことがあるから、たまに見る」 「そうか、いいな」 藤友君は目を細めながら羨ましい、という感じの声を出した。 「あ、ごめんっ」 僕は藤友君にはご両親がいなかったということを思い出す。 「気にしなくていい。もともと一緒に星を見るような親じゃなかった」 藤友君がごろりと寝転がったので、僕も隣で寝転がる。 黒い影に縁取られた鳥居を下から眺める。堂々とした丸みを帯びつつも直線を感じさせる柱、その向こうに瞬く万の星、鳥居を囲んでザワザワとざわめく木々の影。 「ここ、いいな。なんか落ち着く」 「ここは新谷坂の封印の場所だから悪いものは入ってこれないんだ」 「そうか」
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