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冷遇された巨大企業の御曹司と、不可触国王ジョナサンは、ホテルのバーで杯を酌み交わしていた。
話を聞けば聞くほど、宗春は可哀想だった。
やっぱり他人という気がしなかった。
ムネハルはイナリヤマを旅立ってから、世界をまたに駆けるビジネスマンになっていたそうだった。
「今の総帥はゴーマの娘のリリなんだろう?トキさんはその相談役で」
「莉里様の話はしないでいただきたい。あの方が稲荷山に迎え入れられて2ヶ月で、私の存在は完全に忘れられた。株価は6倍になり、莉里様がこの前出版した莉里のモフキン日記という写真集エッセイは全世界で80億部売り上げ、全本社社員のみならず、非正規のパート社員にすら税金対策でボーナスが支払われた。私だって、義母に認められたくて必死に頑張っていたのに!最近じゃ妻の榮にすらお荷物扱いだ!息子だって出来たのに、ふーん、だから?と言ったリアクションをされる始末だ!この写真を支えに流浪の人生を送ってきた!勘解由小路の奴!息子の宗徳を一瞥し、鵺徳だな。親父より賢そうだなどと暴言を吐くし!どうか!ジョナサン・エルネスト様!友達になってください!お困りでしたら何でも言ってください!貴方の生徒のオタクはきっと漫喫にいます!多分迷惑行為で出禁になってるはずです!」
えー?友達?まあいいけどさ。
「なあ、同年代だから、ムネハルって呼んでいい?」
「これは嬉しい!島原さんは私に冷たかった!」
うん?ユキジは駄目か。こないだ仲良くなった。ユキジとは。
連絡先交換したが、基本、メッセージにはゴーマへの恨み辛みめいた書き込みばっかりだったし。
「なあ、ムネハル。俺の生徒のオタクって、ブリュンヒルデって言うんだけど、知ってるのか?」
「いえ。全く。よくあるんですが。こういうことが」
ああ。リリと一緒なんだな。リリはもっと凄かったし。名前言う前にうちの子見てイーサン・ジュニアに会えたのよさ!とか言っていてたまげたが。
「マンキツって、日本のドラマに出てくるあれだろ?ああ、まあ、あいつなら、追い出されるようなことしそうだ。その後の事は後で確認しようか。総領事館のユーリもアースツーの入管も追ってるはずだし。とりあえず、今日は飲もうヌーームネハル」
「今ぬって言った?まあいいジョナサン!飲みましょう!一応金はある!」
「奢りなら底なしに飲むぞ俺は!ホース持ってこい!コール頼むぞムネハル!」
「ああ嬉しい!やっと友達出来たし!ホース!ジョナサンにホースを!ウウェエエエエエエエイ!」
「ホース咥えてジョナサン行きます!」
「イッキ!イッキ!イッキ!イッキ!イッキ!イッキ!イイェアアアアアアア!」
5分後、ハメを外しすぎたジョナサンはバーを追い出された。
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