JKママさん始動

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JKママさん始動

 国会議員にして勘解由小路降魔の永遠のラブ妻、勘解由小路真琴は、初めての休暇に戸惑っていたのだった。  母ちゃんに休みがないというのは前時代的だと幹事長の奴は言っていた。心置きなく休みを取っておいでマコマコ。ああおっぱい眼鏡は40すぎて島原の子供を鋭意妊娠中だ。恥かきっ子を孕んだ眼鏡は産む気満々だ。遊びには誘えんだろう。どうする?  降魔さんはそんな風に言っていた。  勘解由小路真琴は友達があまりいない。何かが欲しいという欲求もあまりない。彼と真琴の子供以外は。  突然やって来たのは、数少ないというか、異世界で唯一の仲のよい友人だった。 「しばらくぶりです。フランチェスカさん」 「マコトさん?!きゃあいらっしゃい!」  嬉しい悲鳴を上げて、フランチェスカはピョンピョン跳ねて手を握り合った。  真琴はフランチェスカよりも年上のはずだが、実際若々しく美しい人だった。 「フランチェスカさん、ジュニアくんは元気ですか?」 「ええ凄くクンクンしてるわ。さっきお腹いっぱいになってスヤスヤ寝てるわ。マコトさんの三つ子ちゃんは?」 「三つ子ちゃんは降魔さんに預けてきました。生まれて初めてのお母さん休暇をいただきました。よかったら、どこかでランチでもいかがでしょうか?」  確かに、ママになってから休みらしい休みを取っていなかった。  休みと言ってもジョナサンに連れられて温泉とか、初詣とかでしかなかった。  後は、あんまり思い出したくなかった。  リアルな犬になりかけた最悪な思い出。  イーサン・ジュニアの出産でフォロー出来るものではなかった。 「そう言えば、最近は、蛇になって降魔さんを食べかけたくらいでしたね。ジュニアちゃんに会えたのはよかったですが。家族総出で遊びに伺いましたね」 「その話はあんまり。だって、動物にされちゃったのよ?でっかい蛇になってゴーマさんを食べるところだったのよ?いいの?」 「結果として愛する降魔さんを食べかけた思い出は、今もホットな思い出として私の赤ちゃんのお部屋を揺さぶっています。全然ウェルカムです」  あー。やっぱり普通じゃないのね。この(ひと)は。 「そうね。私もお休み欲しいわ。ジュニアの面倒をうちの女中頭にお願いしようかしら。おっぱいも絞ってあるし」  急にワクワクしてきた。  友達とランチに行って女子トーク。  割と生々しい夫婦生活や子育ての悩み。  初めての先輩ママとの会話は楽しみだし。 「そうね。行きましょうマコトさん」 「行きましょうフランチェスカさん」  そう言うことになったという。
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