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第三話 胸が痛いデス
アッサム達のあの事件の後
私は、落ち込んだというか、自分の図々しさに反省したというか。
子供だてらに首を突っ込んだ結果で、反省しまくった。
六十のおばさんはそこにはいなかったのだ。
その日、私は過去を夢で見た。
うっすらとした記憶の中で、あの女も消えつつあった。
なぜ人を殺すのだろう?
多くの人が死んだ、何にも罪のない、何にも関係のない、ただそこに居たというだけで殺された人たち。
胸が張り裂けそうになり、私はそれに耐えきれなかった。泣いて、泣いて、泣き続けた。
彼女は私を殺したことで夫の愛を手に入れたのだろうか?
それを知ることはできない。
彼女は捕まる、殺人犯だもの。
彼女はこの後後悔するかもな。
夫の愛は彼女に向けられることはないと思う、だってそういう人だったような気がするんだもん。
もしも、もしも私が彼女の立場なら。
それに気が付いた時、愛は絶望となるような気がする。
愛かー?なんだかなー?
今の年齢と頭の中の年齢のギャップ?
まあそれでも必要なおばあちゃんの知恵みたいなもので今ではずっと生活が楽になったけど…
考えちゃうよな、この先…
緑色の石をつけたものたちは、ビエンタ王への忠臣を誓った。それは建前、裏では金、権力をわが物にするため集まったゴロツキでしかなかった。
カネをばらまけばゆうことを聞き、物を分け与えれば自分の言いなりになる。
ふん。そんなの。
でも実際、家族を人質に取られた幼い子たちは従うしかなかった。
力、知恵、それさえも目の前で人が殺されれば、自分もいつかこうなると刷り込まれ、悲しい結末を迎えることとなる。
悪魔のささやきは、恐怖で動けなくなった体を支配する。
「殺せ!」
その一言が聞こえたとき、人は人を殺してしまう。
私はそんなの嫌だ。
あの日、ハリーが私を抱きしめ、兄がずっと手を握っていてくれた。
その愛情だけが私の救いだった。
私が悪いんじゃないと言ってくれたハウエル。
私のおかげで叔父たちを助けられたと言ってくれたウエストハー。
みんながやさしくて、その優しさが身に染みて…また泣きだした。
少年の親は間に合わなかった。もう殺されていたのだ。
笑いながら人殺しをなんとも思わないやつら。自分が頂点じゃないときに食わないんだ。
目には目を歯には歯を、それを聞いて殴りたくなった。
そんなもの何もならない。
死んだ人を前に、お前も死ねと言ったところで、死にたくないとほざくやつら。
悔しくて涙が出た。
兄弟が残っていた。
彼らのこの先は、アッサムの父親や王様、大人たちが見守ってくれる。
あの子守歌のように、大人が守ってくれることを期待するしかない。
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