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第四話 やりたいことがいっぱいデス
【チャーム。】
優しい声たち。
【チャームおきて。】
いいにおい。
「チャーム!」
「ねえちゃん!いつまで寝てんだよ」
飛び起きた。
夢ではない現実の世界。イケメン二号、三号が覗いてきます。
ああ、もう忘れかけている過去。
植物たちが笑っている。みんなも笑ってる。
まだ大丈夫みたい。
まだ?…なにがだろう?
十五になれば植物の声が聞こえなくなる。すべての人ではないにしても聞こえなくなる人の方が多い。それと同時に過去の記憶もなくなるというけどそれも、すべてがなくなるわけじゃない。だって人間の頭はいらない記憶だけが零れ落ち新しい記憶で埋められていく。
そうかだから、十五で子供時代の古い記憶がなくなる、だから忘れたようになってしまう。
植物の声は、うるさい中で聞こえないようにしていたからだんだん聞こえなくなっただけで、聞こうとすれば聞こえていた。大人たちになって聞こえる人と聞こえない人の差はそれだと思う。
いつか聞こえなくなる時が来る。
兄アルべが小さい雑草たちの声が聞こえなくなってきたという、今はもう耳栓をしなくなった。
別に聞こえなくなったからと言って困ることはないと、そういいながら兄が書く絵は美しい。今何とかこの絵を残せないかと私は思っている。
まあ声に関して言えば、その人次第ということのようだ。
肩に乗った紐を引っ張った。
イヤホンというものらしい。音が出ていたようだ。
記憶が薄れ、ノートの中にあったもの形は違うけど、耳に入れるもの、今はなくさないようにかわいい紐をつけた。
それだけじゃない試行錯誤はした、最初は穴をふさぐだけ、痛いから、植物の樹液をつけた。それが少し長細いものになると、耳の奥に入ることなくとることができた。今度は寝るとき邪魔になった。
穴をあけひもを通すことで風も入るから声も少し聞こえても痛い思いはなくなった。
大きさもいろいろ、ガラもつけ可愛くなった、無地もある。
こんなものと言っていた兄も手伝って施策を何度もしてくれた。コリンもいろいろ考えて今に至る、四年もかかった。
その間にガラスが透明度を増し、試作で作った鏡が今や大きなものを作れるようになり。私は研磨することでレンズを作った。
拡大鏡は、ばあちゃんが喜んでくれ、今やっと眼鏡型にできるようになって、コリンの工房も人が大勢でにぎわってます。
ハズ〇ルーペ、すみません、パクりました。
小さな子が手を引かれ、耳からきれいな紐が見えると、なぜか微笑んでしまう。
小さな焼き物は面倒くさいと言っていたけど。
こんなに、はやるなんて思ってもみなかった。
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