第五話 事業主デス

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第五話 事業主デス

トイレもそりゃあ、下水が完備されていれば出来る訳だけど、今じゃ、ドッポンのトイレ事情も変わりつつある。タイルができて、外じゃなく家の中にトイレができてきたのが大きいかな。 そこは村長さんにちょいと頼まれごとをして、まあそれは後で。 山のふもとの村は、そりゃー活気にあふれてます。 人の流れは隣村だった。ブルームからも流れていますからね。 ああ、そうそう、今じゃノートル村、住所整理しました、名前いやだっていうから。いまじゃ、一丁目から二十丁目、うちは二十で一番広いその一番です。 数字で表すようになったので、郵便が来るようになりました。 前は、行商人や王家の下働きの人が運ぶしかなかったけど、ちょっとね、そこはわがままと村の事業ということで、これもあとでね。 パン屋は今でも盛況です。 ゆだねだけはあくまでもうちの秘密です。シークレットです。 そうしないと人は努力しません、酵母を作れる環境はどこにでもあるのです、だからおしえません。私に取っちゃ酵母もまだまだ研究材料です。 本店はあくまでふもとの家です。 隣の人が家を建て替え出ていくというのでマリアさん家族が買いました。 窯は家にあるので、囲いを取り外し、マリアさんたちは家を店としてだけ使うようにしたんです。 ゆだねは、山から下りる羊飼いの子たちが持っていきます。 そしてそこから各支店へと分けられます。 支店は今や十、まだ増えています。みんな頑張ってます。 一番遠いのは、西の国のヤンさんのところ、ここだけは王室の料理長のところで作ったものになります。 アッサムのいる東の国、王都にも一軒出来ました。 それぞれの店が創意工夫をして切磋琢磨していますが、あまり売れないようなものは作らないようにお願いしています。 面白いからついついいろんなことしたくなるんだよね。 今、全店でハンバーガーとホットドックを出せるようになりました。 設備が整ったんです。 それともう一つ。 「何これ、超美味しいんだけど」 「おばさんお代わり!」 「辛いけど、うまい、この黄色いのは何だ?」 カレーです、カレーパンです。 「んー、ぱー、はーおいしい」 「これがトメートルの実なの?もったいないことしてたのね」 「オーにぎやかだな」 お邪魔してます! 「父さんも飲む?」 「ああ、くれ」 トマトジュースに、ニンジンを中心にした野菜ジュ―ス、夏限定ではありますが、ムフッ!超売れているようです。 王室、ここだけは内緒のレシピが存在しますので、シャートン領もヒュートン領も・・・。 まあ、いろんなものが出来て、今じゃオールバン家のマーク、五つのハートがあちこちで見られるようになったしね。 紙、ろうそく、布、木工、各種雑貨、あれ?私社長?へへへ。 ヨハンさんのところの邪魔をしない様にしています。 「楠さんただいま、もみの木爺さんただいま」 世界は動いています、でも、悲しい過去の繰り返しは嫌です。 第一次、二次世界大戦があったから前の世界発展があると言われていたけど、そんなのいらないと思う、ゆっくり、のんびり進んでいけばそれでいい。そういえばお盆の墓参りもちゃちゃっとすませていただけだったな、この先、どんなことがあるかわからないんだ、そのこともよく思い出そう。 私はアッサム達の事件の後そう思うようになった。 ふわー、眠い、なんだか今日は眠くて眠くて。 男どもはコリンの工房で大騒ぎの事でしょう。 私たち女子は話に夢中、そろそろ恋の話。 ウエストハーは、メナールの旦那様になって王様になるかもね。 なんてそんな話で盛り上がれるのはこの年頃の女子の特権よねー。
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