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第十七話 山登りデス
一時の感情で俺は二人を殺してやるとまで言って剣を向けた。
それを止めたのは兄弟たちだった。
チャームのところへ行けと言ってくれたのは、三人の賢者、叔父上たちだった。
そして孤独だと思っていた俺にも友ができた。グルーナたちの声を聴くことができたからあそこで踏みとどまることができたのだろうな。
はあ、はあ、やっぱり滑るな。
それでもチャームが開発した、ゴムを張り付けたもので来た、木靴は足が痛いし、革靴は汚れる、結局、フェルトの靴下を植物で編んだブーツの中に入れたものが軽くて楽、今はその裏にゴムというものが付いている、それだけでだいぶ歩きやすい。
俺はチャームと一緒になるのにお父さんと約束をした。
それは、俺が王の息子だと分かっているからこそ、人が来る、そうなると、山が荒らされる。この山は宝物、だから大事にしたい。
俺は人と会うときは山を下り、もちろん国の大事のときはそっちを優先してくれと言われた。大変なことだけど、この家族はそれをこなしていた、そしてこれからも。
背負ったものは、もう羊たちが持って行ってくれた、俺は軽い身体一つで登っていくのだった。
カランカランといろんな鈴の音がずっと前からしてくる。
バレリさんのところを過ぎると見えてくるのは変わった形をしたもの、チャームは鳥居と言っていた。ここからは、馬もロバもいけない、人の足だけで登るのだ。
グルーナの世界、これはずっと守っていかなければならない場所だから。
俺はここで耳栓を取る。
【ハリー、おかえり】
「ただいま、みんな」
一度はグルーナの声が聞こえなくなった。でもチャームが、ちゃんと聞こうとすれば聞こえるのだと教えてくれた。
初代グルちゃんは、もう人の踏まれない場所に植えてやり、そのひ孫の孫の代になっている。
とにかくいろんな音が聞こえて耳が痛くて、今じゃ、ちゃんといるものだけの声を聴き分けれるようになった。
一人の時ほど、周りの声を聞いては楽しく歩けていた。
山に登るときヤギ使い達と一緒に来るけど、俺はゆっくり自分のペースで登らせてもらう。
「はー、ヤギ飼いは毎日ここを上り下りしてるんだもんなー、凄いよ」
【ハハハ、ハリーもいい運動だろ?】
「そりゃ、机にかじりついているよりずっといいや」
【そうだな、ハリー、右側の谷の下に、チャームが探していた薬草が目を出した、大きなものを少しだけ持って行くといい】
「それはありがたい、ありがとう」
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