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第十八話 恥ずかしながら人妻デス
おーい!
「おー、ハリー、ご苦労だったな」
【ハリーおかえりなさい】
【えらい、いい顔してるの】
「みんなただいま。もう、降られて散々だったよ」
チャーム、ハリーが帰ってきたぞ!兄さんの声に振り向きました。
玄関先にあるベンチに腰を下ろす彼に走り寄ります。
「おかえりなさい、どうだった?」
抱き着きハグです。
「大漁、大漁」
見せて!
鞄はもう玄関におろしてあった。
こっちが缶で、こっちが瓶。
「さすがー」
「へー、すごいもんだな」
「ねえこれ何?」
「お魚よ」
「海で食べたお魚?」
「そう、よく覚えてたね」
「ねえちゃん、俺もう。十二なんだけど」
そうです、わるーございました。
「これ、下の谷でもらってきた、これだよな、わさび」
「ウワー、そうそう、立派だね、ありがと、今晩のおかずが出来た」
チャームは脇に書かれたものを見て、アレンに一つ渡した。
遅れて山へと駆け上がる弟に何を持たせたか聞いたら、トマトのピクルス。実験なんだって、気圧?で缶が膨張するか調べるんだそうだ。
まるで学者だよな。
ほめてくれた?
まあな、少し寝る。
お風呂入れるよ。
ひとっぷろ浴びてくるか。
兄も十九そろそろ結婚ですかねえ。
私ですか?
んー。
「したよ、結婚しました」
横から入ってこないでよね。
いいじゃんか。
風呂上がりで頭を拭いています。上半身裸。
もう、恥ずかしいな。
この世界、やはり男性が上。三歩下がって、なんてことはないけど、女性の仕事場は限られている。
でもこの村に来れば仕事はいくらでもある。
ドア―フの洞穴はやはりの女人禁制に、私も入れなくなっちゃった。
それに事業者は男性じゃないとなれないんだってー、ブー。
男性は十八になると結婚できる。女性は十五、父さんはだいぶ渋い顔をしていたけど、ハリーに負けたのよね。
だって自分たちもその年には結婚していたんだもん。
王様の仕事はハミエルに渡して、二人の叔父の子供たちもそのあとを継いだので、事実上、王様として跡は継がずに、王室のバックアップをする人になったんです。
ということで、私たちは、山での不自由な生活を続けることいしたんです。
つつましい生活でいい。
忙しいのは下界だけでいいかなって。
ささやかながら結婚式もしました。
場所はマリーの家、じいちゃんとばあちゃんは久しぶりの我が家を喜んでみていました。
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