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第二十話 アイディアは尽きることはないのデス
三歳の時にじいちゃんに頼んで作ってもらった紙すきから、手押し車、馬の背につける荷車。次々と出てくるものは私の大事なノートの中に書き留めてある。
たまに、ふっと何かを思い出す、そんなときは、手帳を出して書き留めている。
「なに、なに?手袋?皮?ふーん」
「見ないで!」
「見ちゃったもん!お昼お昼!」
「エー、また作るなんて言わないでよねー、手を洗ってきてよ!」
「はーい」
洗濯機がほしい、でも電気がない。
樽にハンドルをつけ、水を入れまわしてやればいい。
生活を楽にしたいという主婦目線からできたものばかりだなと思うのは、女性は忙しいからなんだと思う。
それはどの世界も同じなんだなと改めて思うのです。
さほど大きくない小ぶりの樽、入る量も少ないんだけど、特におむつを洗うのに重宝がられちゃった。
「おーい、チャーム」
「はーいすぐ行きます」
私の本棚にはアイディアは山ほど、使えないものが多いけど、たまにそれを読み返すのも楽しいです。
山にも人が入ります、でもそれは森林破壊とかじゃなくて、この先ずーっと山と一緒に生活するためです。
なので鳥居を立てました、ここから先は、何でもかんでも取らないようにしてほしいからです。
誕生日がきます、十六歳になります。まだ私には植物たちの声が聞こえています。
【いて】
【なんでやねん】
【あほ、ふむなや】
洗濯物を持って歩くと足元から聞こえる声。
なんで関西弁なんだろう?
よくわかんないけど、調べるもの面倒くさい。なんたって雑草は数が膨大だもん。
「ただいま」
「はー腹減った」
「手を洗ってきたのかい」
洗った、洗った。
「はいどうぞ」
「やった、今日はピザだ」
「ピザピザ」
「アレンピザって十回言って?」
「ピザピザ…」
「ここは?」
「ぴざ!」
「肘だろ」
「イェーイ―引っかかった、引っかかった」
「くそ―、そうだ今度学校でやってみよ」
こうしていられる時間のほうがありがたい。
私は三回死んだようなものだ。
次は本当にないかもな。
「お疲れ」
「はー、やること多すぎ」
眼鏡を取り目頭を押します。
私はあれから目が悪くなり、サングラスをかけて歩くようになりました。
黒だと真っ暗で何も見えないので、グリーンというか、黄緑です。視力が落ちたというより、極度の脱水は、目の水分までも奪ったようで、よく生きていたと思う、カミーラさんには頭が上がらなくなりました。
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