最終話 変化デス

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最終話 変化デス

私も母さんと、家の事だけでいっぱいいっぱいです。 「ねえ母さんここは?」 「こっちからこうかけて、これをはずして」 編み物、はまってます、おばあちゃんからは、マフラーぐらいは習っていたけど、細かいものは今やっとって感じです。 足を折ったときは何ともなかったのに、今はちょっとなんだかおかしいのはわかってます。カミーラは腰をやったんだと言っていますが、若さで乗り切れると思わないで、重いものは持たないように、温泉でしっかりあったまるように言われました。 それと、たぶんだけど。 向こうの世界ではできなかったことが今身体の中で起きている、それを実感しています。 私もお母さんになるんです。 【チャーム誰か来るわ。】 外に出ました。 女性が一人山を登ってきます、誰だろう? んーと背伸びをしながら隣に並んだ人。 【ああ、ありゃ、アルべのこれだ】 これ? ああ、あの人が彼女。 へー、やるな。 へーなんて、呼びに行ってこよ。 俺が行ってくるといっちゃった。 畑にいる兄ちゃんが転げまわるように急いできます。 笑っちゃう。 へー、なかなかお似合いじゃん。 ここにいてくれる人ならいいけどなー。 また家族が増えます。 ここに立っているだけで胸が熱くなります。 視線が変わり、見る風景が変わっても、山も木々も変わりません。 ハイジの世界、私の子供ができたら聞かせてあげよう、いろんな物語を。 「ヤッホー!」 隣にいる人が驚いています。 兄たちがびっくりして振り返りました。 ごめんなさい。 「俺も」 「じゃあ一緒にする?」 せーのっ! 「ヤッホー!」 やまびこ、帰ってきませんよ。かえすのはグルーナたちの声です。 私の過去の時間はそろそろネタ切れです。 何かの時は思い出すのでしょうが、そろそろ首にかけていた手帳を置く時が来たようです。 幼い時から首にかけていたメモ帳。 今じゃ立派なものになりました。 私、あと何年生きるかわからないけど、ここで灰になるのでしょう、そうなりたいと今は思います。 その時まで精いっぱい生きるとしますか。 「チャームお茶」 ハイハイ、ティータイムにしましょう。 家の中に入ると額縁がいくつも飾ってあります。 何位もなかった十六年前、この話をしたら母さんはびっくりするかもしれない。 家の中に物があるってすごいなと思う。 「どうした?」 肩を抱かれ見上げた先にはイケメン一号、父さん。 「笑顔っていいね」 「そうだな」 そこには兄の書いたみんなの笑顔がいっぱいです、もう顔なしの私はここにはいません。 笑い声が外にまで漏れ出す家族、私の家はここにあります。 END
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