穏やかな気分?

2/6
74人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
理事長と尼崎くんが出ていきようやく温室に静寂が戻ってきた。 ただ、人工的に作られた美しい川の水が流れる音と木々の葉の揺れる音、そして小鳥たちの鳴き声だけが聞こえる穏やかな場所。 沙羅は溜め息をついて天蓋付きのベッドに座り直した。 ベッドと周りはぐちゃぐちゃになってしまった本や書類が散らばっている。 パソコンは何とか無事なようで安心した。 「それにしても強烈な転校生ですねぇ。問題が起きなきゃいいんですが。」 そう言って本と書類を纏め始めた時。 「失礼致します。」 という声が聞こえてきた。 「?都湖?」 「はい。」 入ってきたのは理事長の秘書の都湖だった。 「どうしたのですか?」 「蘭さまがご心配なされていましたのでご様子を見に来ました。」 「わざわざ有難うございます。大丈夫ですよ。」 そう言って片付けの手を動かそうとした時。 「駄目ですよ沙羅さま。今日は熱を出されていると聞いています。片付けはわたくしが致しますのでどうかお休みください。」 「もう下がってると思います。」 「そんなこと無いでしょう。お顔の色がまだ悪くていらっしゃいますよ。失礼致します。」 そう言って沙羅をベッドに座らせて体温計を挟ませる。 「...ほら38.7℃もあるじゃないですか。後で朔都も呼ぶので大人しく休んでいてください。」 どうやら本当にまだ熱があったみたい。むしろ上がっている。 都湖に促されて沙羅は大人しくベッドに横になる。 すると都湖はベッドの天蓋を整えて露出している肌に日の光が当たらないよう調整してくれる。 アルビノ体質である沙羅にとって紫外線は天敵だ。 ベッドに居ない間は長袖長ズボンに手袋、そして頭からベールを被っている。 因みにそのベールは藤嶺財閥と皇コーポレーションが共同開発したベールでまだ世間にはそんなに出回っていない特別製だ。 まあ、元々は余り出歩けない沙羅のために作られた物なので売る予定は今後も無いが。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!