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俺同様、就職先が決まった山岳サークルの男どもに連れて行かれた店。 そこで彼女に逢った。 場末のスナックとは言い過ぎだが、垢抜けてない店だった。 山を愛する人間には酒豪が多い。 皆とにかく呑むので、華を添える女性はいて欲しいが、酒代が安いところを探したんだろう。 華を添えるが枯れ花だったら、どうするんだと思ったが、店には中年のママとバーテンダー、年配客が2人、そして彼女がいた。 「いらっしゃいませ~」 彼女の愛想が良い挨拶も、金を持ってなさそうな学生達と見るや一瞬、表情が曇った気がする。 カウンターでママとバーテンが常連らしい2人を相手している。 必然的に彼女は俺達担当。 「ねぇ、お姉さんいくつ?」 一番馴れ馴れしい仲間が聞く 「秘密。女性に歳聞くなんて~貴方達と、お・な・じ」 おいおい、どう見ても絶対年上だろう。 「じゃ名前は?」 「ミキ」 ミキと名乗る女に後々まで、俺の性的嗜好が振り回されるとは、この時思いもしなかった。
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