2

2/7
30人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
硝子のテーブルの冷たさに目が覚める。 「あ、起きた?」 俺は突っ伏して爆睡してた。顔を上げ周りを見渡すとミキ以外誰もいない。 「?…みんなは?」 スマホを弄りながら、煙草の煙を吐き出し 「もう、とっくに帰ったわよ」 「起こしてくれても良いのに…」 痛む頭を押さえながら、目の前の水を飲む。 「何言ってんの、起こしたわよ。アンタ全然起きないんだもん。ふん!山男のクセに酒が弱いのね」 「仕方ないだろ、体質なんだから」 身だしなみを整え、立ち上がる。 「やべっ…会計は?」 「10万」 「えっ!あいつら~」 裏返った俺の声に、ミキはスマホの画面から俺に顔を向けた。 「あははっ~嘘よ。頂いたわ」 余程俺が素っ頓狂な面をしてたのだろう。彼女は目尻に涙をためて爆笑してる。 居心地が悪くなり、何か挨拶して出ていこうと思い 「…ご馳走様でした」 と小声で帰ろうとすると、鞄を持つ手首を捕まれた。 「ねえ。アンタの為に私、戸締まり頼まれたんだよね~」 「すみません」 彼女は凄い握力で俺を捕んだまま、もう片方の手の爪に目線を落として 「私の時間返して欲しいな~デートもキャンセルになったし」 照明を落とした中でも、彼女の化粧の濃さがハッキリ分かる。 同じように真っ赤な爪。 「ご免なさい!」 罪人みたいに彼女に繋がれたまま、俺は頭を深く下げた。 垂れた頭の天辺に視線を感じる。 「ねえ、アンタ、セックスしない?」
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!