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「はあ!?」 驚きの余り腰を折ったまま、真抜けた顔だけあげた。 「アンタ、イイ体つきだし、あっちも凄そう」 そう言いながら、俺の股間を見る。 俺はタジタジとなり、2、3歩後ろに逃げる。 「今夜は、いつも濃いセックスする男だったから、楽しみだったのに~」 彼女は、やっと俺の手首を離し、自分の肩にかかる黒髪を払った。 ずっと強い力で掴まれてた手首が痺れる。 その痺れが脳内に及んだのか、 「いや、俺、そんな経験ないんで…」 思わず余計な個人情報を漏らす。 「あはっ!アンタ…童貞なの?」 彼女の口元は笑いを含んでるが、目が笑ってない。 獲物を捕らえた野獣の様な瞳孔。 怖い。 俺が童貞だからではなく、 相手が経験豊富そうな女だからではなく、 このミキという女が生物的に怖いと思った。 確かに俺の体はデカイ。良く熊の様だとからかわれる。 歳の離れた気の強い姉達を見てきたせいか、今まで片思いの相手は優しい子ばかり。 身体の大きさをカバーする様に、こっちも優しく接すると大抵イイ人止まり。 それでこの歳まで何も無し。 互いに無言で見つめる。 彼女は、どうやって俺を喰おうか探る様に。 俺は如何にして無事去るか思案しながら。
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