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復讐計画
「諸君、まず我々にできる殺人方法について考えてみるとしよう。では四葉君、何か案を出したまへ」
「はい! 刺殺なんかいかがでしょうか」
「君はバカかね、今の君たち、特にちんけなクローバーでしかない君にナイフや包丁が持てるのかね、せいぜい小さなカッターナイフぐらいしか持てないだろ、ゆえに却下だ! では向日葵君、君の意見を聞かせたまへ」
「ん~ 放火でいいんじゃないか」
「却下だ! やつはアパートに一人暮らしなのだろ、放火だと他の住人に迷惑かけるだろうが、バカ者め!」
「確かにそうね、ってなんで私が怒られなきゃいけないのよ。それなら研吾が言ってみなさいよ」
「フン! よかろう、では私が考えた案を発表する。まず一つ目だがそれは毒殺だ。ありがたいことに向日葵がさっきまで埋まっていた場所の後ろにはトリカブトの花が咲いているだろ、アレの球根を使えばいちころだ」
「トリカブトってよく昔のドラマとかで出てくる伝統的な毒草でしょ、たしかお庄屋殺しだったかしら」
私は少し知識をひけらかした。
「フム、若いのによく知っているな、しかしナゾだ、なぜこんなところにトリカブトが生えているんだ?」
研吾さんが不思議そうな顔をしている。そんな研吾さんの疑問を向日葵が一蹴した。
「あ~ あれなら私の母親がDVだった父親を殺した時に使ったのよ」
向日葵が平然な顔をして語る。
「向日葵のお義父さんひどい奴だったからね、納得だわ」
私も向日葵の家庭の内情は良く知っていたのでなるほどと思ってしまった。
「そ、そおか、ま~ 家庭の事情は色々あるから詳しくは聞かないでおこう。だがしかし、毒殺は感の良いヤツなら気付かれてしまうのでおススメしない。それにトリカブトなんてこんな都会にそうそう生えてないから向日葵のお母さんが疑われる可能性もあるからな」
研吾さんがもっともらしいことを言っている。
「確かにそうだわね、お母さん今まで苦労してきたのだしこれ以上不幸になってもらいたくないわね」
向日葵そお言うと何だかショボンとしている。
「それなら二つ目は?」
私は沈んだ空気を変える為にすかさず研吾さんに質問をした。
「いや、実は2つ目が本命なのだが、お前ら金蚕蠱って知ってるか?」
「しらな~い」
私と向日葵は同時に答えた。
「フム、フム、コホン! では説明する、金蚕蠱とは蛾の幼虫を使った特殊な呪術なのだよ。どのような呪術かと言うと、一旦金持ちに持ち上げといてその後殺すと言った感じなのだよ」
「それは凄いわね、詳しく教えてちょうだい」
向日葵の目がキラキラしている。彼女は自分の知らない殺人方法には興味津々だ。恐らく推理小説が好きであった事が影響しているのだろう。
「では少し長くなるけど説明する。まずカイコ蛾かヤママユ蛾の幼虫を沢山探して大きな壺に入れる。ま~ カイコはその辺にいるわけじゃないので主にヤママユガの幼虫を探す。基本こいつらは葉っぱしか食べないので壺に餌である葉っぱが無ければ餓死するけど時々共食いするやつが現れる。そして共食いの末最後まで生き残ったやつを今度は100種類の虫が入った壺に入れる。それでもしこのヤママユガの幼虫が他種の虫を食べて最後まで生き残ったならそれを金蚕蠱として使うことができるのだよ」
「少しめんどくさいですね」
私はめんどうな事は好きではないので興味が薄れた。しかし向日葵の目はまだ光っている。
「私は良いと思うわ、それでどうやって金蚕蠱を使うの」
向日葵は乗る気だ。
「ここからが重要なのだ。まず最後に生き残った時点では金蚕蠱の体色は白色なのだよ、俺はこれを銀蚕蠱と呼んでいる。この銀蚕蠱を金持ちの家の軒下に小さめの壺に入れて埋めて体色が金色になるまで放置するのだよ、そして体色が金色になったら完成する」
「エサは何を食べるんだ?」
向日葵が更に食い付く。
「この蟲は金持ちの欲を食べて育つのだよ」
「金色になるまでどれくらいかかる?」
向日葵が更に更に食い付く。
「10年~20年かな~」
「なかなか時間がかかるわね~ それで育った金蚕蠱を具体的にはどうやって使うの?」
「それはだな、この金蚕蠱を恨みのある奴の家に金目の物と一緒に送るのだよ。この蟲はその家に財をもたらす代りに蟲を送られた奴が年に一人の人間を殺さないと金蚕蠱に食べられてしまうのだよ。欲にまみれた金持ちは送られてきた金目の物に気を取られて金蚕蠱が送られてきた事に気付かない。そして知らずに過ごしてしまい金蚕蠱に食べられてしまうのだよ」
研吾さんはひとしきり知識をひけらかして満足げだ。
「なかなか凄まじいはね、それで研吾は銀蚕蠱か金蚕蠱を持ってるの、又はあてはあるの?」
向日葵は継続して興味津々だ。
「金蚕蠱は持っていないけど銀蚕蠱ならあてはある」
「さすが研吾さん! よ! 日本一!」
私はあからさまに研吾さんを持ち上げた。
「おいおい、そんなに褒められてもな~ まあ俺も最近暇だったから少し楽しくなってきたよ。これからも色々協力するからお前らも頑張れ ハハ」
研吾さんは暇だと言う理由で私たちに金蚕蠱を育てさせて楽しむつもりだろう、だがあいつに復習できるなら利害は一致している。
「それじゃお前ら夜になったら銀蚕蠱を取りに行こう、それまで解散だ。俺は少し用事があるから一旦ここを離れるぞ」
「あなた、早く帰ってきてね♡」
私は冗談で言ってみた。すると向日葵が研吾さんを睨んでいる。
「じゃ、じゃ~ 俺は行くよ」
研吾さんがそそくさと飛び立って行ってしまった。
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