火葬

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火葬

 病院での出来事の後、金文オロチはやはり死んだ。それも私たちが部屋を出た後3時間後に死んだようだ。あれだけ病状が悪化していて尚且つ向日葵に首を切られたのにすぐ死なずに3時間生きながらえたのには驚く。しかし本当に死んだようなのでスッキリした。そして今日火葬されるのでみんなで見学に来たのだ。金文オロチには親族は誰もいないようなので市の職員一人立会の元火葬され燃えカスとなった。そしてその市の職員が遺骨を持ってタクシーに乗り火葬場を後にした。 「研吾さん、金文オロチもやはり転生するのですよね、蛇にでも転生するのですか?」  私は向日葵の頭の上から研吾さんに質問した。私の隣には洋子さんがホバリングして飛んでいる。 「いやそれは無いだろう、あのクラスの人間は神聖な蛇にはなれないよ、そうだな恐らく……」  私の頭上を一匹のカナブンが通過した。 「ほい!」  研吾さんはそのカナブンを咥えた、そして洋子さんが針で刺して身動きできないようにした。研吾さんはそのカナブンを地面に落とし踏みつけた。 「イテッ! なにしやがる」 「ハハ こいつが金文オロチだ!」  研吾さんが足で転がし笑っている。 「お前らこんな事してただじゃ済まさないぞ」 「やれるもんならやってみなさいよ」  今度は向日葵が金文オロチを踏みつけ言い放った。 「研吾さん、こいつが金文オロチですか?」私は不思議そうに言うと、「そうだ金文だけにカナブンになったようだガハハハハ」  研吾さんが馬鹿笑いしている。  私はこんなちっぽけな金文オロチを見て恨みは薄れた。  「四葉は何だかスッキリしているようだな、その調子だと後30年くらいで転生できるな。向日葵はまだこいつが憎いか?」 「憎いわよ、殺しても殺したりないわ、なんせ挿入されているからね」 「それなら向日葵が対処すればいいかな」  研吾さんが一番上の足を組んで言った。  「私は何をすればいいの?」  向日葵が不安そうに質問した。 「お前ら冬虫夏草って知っているか?」 「しらな~い」  洋子さんも含めて私たちは答えた。 「う~ん、それじゃ説明する。本来菌類が昆虫に寄生した感じの植物なのだが、これを応用して向日葵がこいつに寄生して栄養を吸い上げればいいかなと思う」 「それでどうなるの? こいつは死ぬの? 死んでもまた何かに転生するんじゃないの?」  私は不安そうな顔をした。 「それはだな、こいつをミイラ化するのが目的なんだ、ほら、即身仏ってあるだろ、あれは体はミイラ化しているがまだ生きてるんだぜ。あんな感じにこいつをミイラ化して魂を閉じ込めてしまえばいいと思うのだよ。そうすればこいつは一生転生できない」 「それ良いわね、それでいくわ」  向日葵が即答した。 「研吾さん、それじゃ向日葵はいつ転生するの?」  私はまた不安そうな顔で質問した。 「そりゃ~ 後はスッキリしたらおのずと転生するだろうよ」 「四葉、心配しないで、四葉が転生するまでまだ30年くらいあるだろうしそれまでに私もスッキリしたら一緒に転生できるでしょ」   「そうね、それじゃそうしましょ」  話は纏まった。   「金文オロチ! 一つ質問があるわ」  向日葵が唐突に質問した。 「クソアマ! 放しやがれ」 「あなた四葉にあなたの汚らしいモノを挿入したの、してないの、どっちなのか答えなさい」  向日葵が今更な事を質問している。 「そんなの事か、当然こいつが死んだ後挿入したさ! アハハハハハハハハ!」  金文オロチは勝ち誇ったかのように笑った。 「洋子さん、こいつの口を塞いで頂戴!」  私は下を向き低い声でお願いした。そして洋子さんはもう一刺しして金文オロチは失神した。 「ヨツバァ~ いい気味ね、何だかスッキリしてきたわ」  向日葵がニヤけながら私を見ている。 「何を言っているのよ、二人とも挿入されたのだから御相子でしょ」  私はふくれっ面で向日葵を見た。そして私たちはお互い笑った。 「お前らいい加減にしろよ、全く、イチャイチャしやがって」  研吾さんがあきれている。 「今のどこがイチャイチャなのよ」  洋子さんが不思議そうに私達を見ている。  それから私たちは町が一望できる丘に移動した。そして私と向日葵は二人並んで根を下ろした。  金文オロチは向日葵が根を絡ませて地中に埋められている。  研吾さんと洋子さんは、「又来るね!」 とか言ってどこかに飛んで行ってしまった。  それから30年、私と向日葵は瞑想と覚醒を繰り返し横に並んで時を過ごした。最後に話したのは5年前でその時はまだ金文オロチを半分くらいしかミイラ化できていないと向日葵が言っていた。それからはもう目を開くことも無く私は100年と5日経ったある晴れた日、転生して四葉のクローバーでなくなった。    
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