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あ。来た、来た。
ちょっと見ない間に、三人とも変わってる感じがした。きっと大人になる成長期なんだろう。みんな背が前よりも伸びて、髪も伸びて、あとちょっぴり太ったのかな。
しもぶくれの子は顔だけじゃなくて、体形も大きくなったみたいだ。
眼鏡の子は頭が切れそうな顔つきになっている。
お団子ヘアの子は長いポニーにしていた。あの長いポニーにじゃれて遊んでみたい。
アタシの姿に気がついたのは彼女たちではなくて、ゾロゾロと下校中のほかの生徒たちだった。
お、あんなとこに猫がいるぞ。
あ、ホントだ。ありゃ、野良だろ?
これは男の子たちの意地悪そうな声。捕まったらひげを抜かれそうな気配がしたから、要警戒。
それにしても野良猫がそんなに珍しいのかね。
アタシは身を低くして当たりの気配を窺った。目の前の道路はクルマが行ったり来たりして危なそうだった。こちらから横断するにはもっと慎重にならないと・・・
(お姉ちゃん、どう?)いつの間にか弟がアタシの後ろにいた。(ボッチはやだよう、お姉ちゃんといっしょにいる)
(あそこにいるけどね、アタシたちに気がつくかな?)
だしぬけに弟がニャンと鳴いた。
同時に何台もクルマが道路を通過していったから、鳴き声は消えてしまった。
でも、彼女たちは気がついてくれたようだ。
「ねえ、あの猫ちゃんたち・・・」
「あ、モーモとゴマ助だ。シジミはいないね」
「ほんとだ。お母さん猫いないね。まだ具合が悪いのかな」
三人が道路を渡って、こっちへやってくる。
アタシは嬉しくて嬉しくて、何度も何度も鳴いた。
ニャーゴ、ニャーゴ・・・
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