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ひゅうう。
ちょっぴり強い風が吹いてきた。ほこりっぽい匂いがした。
ひゅうう。
(あら・・・)
(あ!)
おかあちゃんと弟がアタシを見ている。
(え、なに。どうしたの?)
(桜の花びらがあんたの頭に・・・まるで簪だねえ。とてもきれいだよ)
(ホントだ。姉ちゃん、美人だぞう!)
弟まではしゃぐ始末だ。
どこかで舞い散った桜が風に飛ばされて、偶然にもアタシの頭に蝶々のように止まったのだろう。
褒められて嬉しくなった。
とてもいい気持ち。
シッポをぴんとたてて、くるくるまわしてみる。
けれども・・・
アタシたちの幸せな時間はそれでおしまいになった。
突然、おかあちゃんが口から血を吐いて倒れてしまったのだ。
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