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小学校の頃からずっと感じていたこの違和感。
「あら、あなたたち…双子なの?へぇ、おねいちゃんと全然違うのね。」
うるさい。
「ほら、お姉さんを見習いなさい。なんでこんなに出来が違うのかしら?」
知らないよ。
〜ずっとくらべられている「くらべられっ子」の話〜短編〜
声を聞きたくなくて耳を塞いだ。
きちんと出来ない私がダメなんだ。お姉ちゃんみたいになんないと。
でも、無理だ。
「ほら!一緒にやろう!ね?私達は…」
知らないよ、わからないよ。
お前にはわからないよ
なんでもできる…お前には。
「なんでもできるお前は!いいよな?一つをする事で褒められて!私には、なんも出来ないんだ!」
無意識に飛び出していた
心が 痛いのは なぜだろう
『ほら。一緒にやろう!私達は2人で一つなんだから!』
あいつは昔からそれが口癖だった。
今更気付いたんだ。
前は好きだったんだ。
2人ならなんでも できる気がして。
あいつの事が嫌いじゃなかったんだ。ただ羨ましいだけなんだ。
今、私がいるとこも2人で秘密基地として使っていた。
「好きなのに…なんでこんなことになっちゃうんだろう…」
『ねぇ…それならこれから一緒にやろう?大丈夫!わたし達ならできる!』
君がいつのまにか立っていた
そして傘を差し出した
ふいに笑ってしまった…こんなに笑ったのは久しぶりだ。
「そうだね。私達は2人で一つだからね!」
うまく笑えただろうか。君と私は2人で一つだ。
私は、君が好きだったんだ。
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