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4つ目のミッション〜ある女優の身代わり1
「シオタさん、私には隠し事ばかりじゃないですか!私が何を聞いてもはぐらかしてばかり。今回のミッションでも、私を騙してたじゃないですか!私は令子さんが依頼人だなんて知らなかった。なぜ、私に言ってくれなかったんですか?!」
「それは、アキさんの身代わりの精度を上げるためです。考えてもみてください。正体を知っている令子さんの前で佳奈になりきれますか?適当にやってしまうんじゃないですか?」
「それは……息子さんの前でだけ佳奈になっていれば良かっただけのことでしょう?」
「そんな切り替えできますか?アキさんがそんなに器用だとは思えないんですけど」
なんて酷い言い方!
「とにかく、私はもう、シオタさんに不信感しかないです。マリリンだって、駅前で老女に化けて占い師にまでなって依頼を募っていたんですよね?」
「そこまで気づいていたんですね。でも、マリリンは私に言われてやったことです。彼女はちっとも悪くないわ」
そして、シオタはミッションカードの3個目のスタンプを押し、それを見せながら言った。
「ミッションカードのスタンプはあと2つです。あと2つミッションが終われば、全てお話します。だから、辞めないでほしいの」
シオタが私に初めて頭を下げた。
そんなことで、私の決意が……
「次のミッションは女優なの。アキさんが夢見ていた映画に出られるのよ。私のことは嫌いでも構わない。でも、もし、ミッション自体が嫌じゃないのなら続けてほしいの」
確かに女優になるのが夢だった。それに、ミッションは嫌じゃない、むしろ……。
私は結局、辞めないことになった。
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