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いつも通り、シオタは私にUSBメモリーを渡した。
「任務は二週間後、8月6日です。身代わりのシーンはラストシーンで、その映画のクライマックスです。撮影も最終日です。
今まで以上に大変なミッションにはなると思いますが、アキさんならやり遂げられると信じています。
今までは、自宅で練習することが多かったと思うのですが、今回は事前に撮影現場にメイクアシスタントとして、行ってもらいます。
日程は明日7月24日から翌週の金曜日まで。それと、8月3日月曜日はシーン100のエキストラとして、実際に映画に参加してもらいます。それから、まだ確定ではありませんが、8月4日、エキストラ参加の翌日ですが、ここで、直接 女優さんからレッスンを受けられるかもしれません」
私は急いでメモを取った。
「ちょっと2つほどお聞きしたいんですけど。私、メイクアシスタントってやったことないんですけど大丈夫ですか?」
「大丈夫です。マリリンのアシスタントですから。昨日から、マリリンはメイク担当として行ってますから」
もう4つ目のミッションは始動してたってことか……。そりゃあ、全力で引き留めるはずだわ。そして、もう1つ……
「女優さんて、誰ですか?あ、これを見ればわかるんですけど。気になっちゃって」
「女優は加賀美京子です。では、明日は7時に出勤お願いします」
7時……ってことは、家を出るのは5時半。また早いな。
それにしても、加賀美京子といえば、大手プロダクション『マイカ オフィス』の看板女優だ。今、45歳ぐらいだったかな。私とはそんなに変わらないのに、30代ぐらいにも見える。可愛らしくて顔が小さい。そのくせ、ノアール物や愛憎劇でのベッドシーンなどもこなす。実力派の中堅女優だ。
私がそんな大女優の身代わりを?
いや、それより どんな理由で彼女が身代わりを依頼するはめになったのか、の方が気になる。早く帰ってパソコンを開こう。
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