4つ目のミッション〜ある女優の身代わり1

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帰宅後、帰り道にコンビニで買ったサンドイッチを頬張りながら、パソコンの画面を見る。 まず依頼文だ。 依頼文 加賀美京子 この度は私の勝手なお願いを聞き入れてくださり、ありがとうございます。 先月から『花束💐』という映画の撮影に入っています。私としては、久しぶりの純愛映画になり いつも以上に張り切っていたのですが…どうしてもラストシーンだけは自分の演技ができそうにないのです。 私の相手役の方は新人さんで初めて共演するのですが、その方はかなりのベビースモーカーでして 近寄るだけで煙草の匂いが強く、眩暈しそうになるほどなのです。今までは話すぐらいのシーンしかなく なんとか乗り切れてきたのですが、ラストはキスシーンがありまして、どう考えても演技に支障が出ると思われます。私の体質が煙草を受け付けないようです。昔と違い、煙草を(たしな)む俳優さんはほとんどいなくなり、私も喫煙者の方とのラブシーンはなかったのです。 今のところ、本番直前にはなりますが 8/4(火)の夜、わずかではありますが 時間が取れそうなので、御社に伺う予定にしております。そこで、誠に僭越(せんえつ)ではございますが演技指導などさせていただきたく存じます。詳しい時間などは塩田さんを通じて連絡させていただきます。 私の身代わりをされる方は、かなりお芝居が上手だと聞いております。どうぞ、よろしくお願いいたします。 最後の一文は余計だな。それにしても、身代わりの理由ってこんなことだったの?! これって、ただのワガママじゃない? こんな依頼を受けるなんて、報酬もかなり弾んだってことなのかな。 そして、キスシーンって……。私は生涯、大ちゃんとしか……って、そんなことはどうでもいいのだけど。夢の初舞台がキスシーン……。 それはさておき、次に映画のあらすじが書かれていた。
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