#1 玲

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「お前、前橋の授業でよく寝れるよな」 「寝ようと思って寝てるわけじゃねーし」 「俺は前橋の声聞いただけで眠気とかふっとんじまうぞ」 「なんでだよ、眠気に前橋の声とか関係あるかよ」 「あるよ!」 クラスの連中とグランドへ向かう。 今日の練習メニューを頭に思い描き、授業中はあんなに練習がしたいと思っていたのに少しだけ面倒な心持になる。 家帰ったら別々に暮らす父親に買ってもらったゲームソフトの続きをしよう。 俄然やる気が出てきた。 誰かが俺の進めているゲームの話になって、俺がそのゲームを持っていることを言えば、明日の土曜に部活が終わった後、俺の家に集合になってしまった。 「まーいいけど」 と言いつつ、どこまでゲームを進めておくかな?と楽しい計画が頭の中を占めた。 新しいゲームと賑やかな友達と、厳しい部活。 人生イージーモードだし、過不足などない。 吹奏楽部の楽器を吹く単調な音色は毎度のことで、いつもこの音を聞きながら外周を走りに行く。 そういえば、この前告白してくれた子は吹奏楽部だっけ? いい子そうだったけど、付き合うとかよく分からないし、断ってしまった。 自分の生活の中に、女の子が入り込むのはまだ後でで良い。 今は、レギュラーにしがみつくのと、一つでも多くゴールを決めることと、新しいゲームソフトを進めることが一番楽しい。
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