赤ずきんちゃんとオオカミくん

７

　自分で言うのもなんだけど、性欲オバケってわけでもないと思う。全くモテない……とは言わないし、他校の子から何度か告られたこともあるけど、正直いままで女の子とつき合うことにあまり興味がなかった。バイトのほかに趣味のゲームや友達と遊ぶこともあるし、勉強もそれなりにしないとまずいので、時間はあるようでない。でもそれを悪友（？）の優馬に言うと「おバカさんだな〜。好きになっちゃうと他の何より優先したくなるものなんだよ」と笑われた。

　ネットやTVの中の女の子が夢に出てきたりとかはあった気はするけど、とにかく、現実の知ってる子でこんなエッチなのは見たことなかったのだ。

　松本里帆のことは、最初から気になってたわけじゃない。どちらかというと、彼女が俺を意識してるのがわかって、逆に距離を取りたかったくらいだ。
　けど二人きりのバイトだし、一応俺の方が先輩だし、彼女が困ってるなと感じた時はサポートした。とはいえ、清掃の仕方とか包装とかはひと月もすれば覚えるので、そのうち俺の出番もなくなった。それより里帆が店のケーキの種類だけじゃなく味についても詳しかったので驚いていると、後から有さんに彼女は店のオープン当初からの常連客だったと聞いた。
　俺はというと、圭ちゃんに頼まれたのもあるが、どちらかというと他より割高な時給に惹かれて始めたようなものだから、正直ケーキには興味がなく、最低限覚えていればいいという態度だったと思う。