泡 沫

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「理央先輩、遅いです!」    今日はアンケートまとめるよ、と生徒会長(リオセンパイ)に言われてしまったならば。  書記(わたし)にはサボる拒否権はない。 「あれ? 夏芽だけ?」  なんてトボけてるけれど。 「先輩、本当に皆に連絡回しました?」  どうだっけ? とスマホを確認して誤魔化すようにふにゃりと笑う。  その柔らかな笑顔はずるい。  きっと私しか呼び出していないんでしょう?  。  私が数えた集計をパソコンでまとめる理央先輩の隣でじっと終わるのを待つ。  それに気づき、私をチラリと見てあの柔らかな笑顔を零す。 「健気、ワンコみたい」  制服のポケットから出したポッキーを私の口に一本つっ込んで。  頭を撫でてくれる、その手が好き。  ねえ、優しい目で見つめないで?  横顔だけ見ていたいの、今だけは。  こうして隣で見る先輩の横顔だけは私のものでいて?  祈るような気持ちでじっと見つめていたらまた気付かれてしまって。 「見過ぎでしょ?」  と苦笑して、また一本ポッキーを与えられた。  まるで私先輩のペットみたい。  待て、と言われたらずっと待ってられる。
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