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窓の向こう側、校庭の風景を眺めながら大きくついたため息。
それを拾ってくれたのは王子様ではない。
恐々と顔を上げ、声の主をみた。
「野上、俺の授業は随分と退屈みたいだな?」
片側だけ顔面を上げ嫌味な笑いを浮かべた英語教師の目はしっかりと私を捉えていて。
そのまま丸ごと1ページぶっ通しで英文を読まされた。
「バッカだねえ、まーた見惚れてたの? 理央先輩に」
1ページもの長文を読み終え、燃え尽き真っ白になった私は休憩時間も机に突っ伏していた。
そんな私をバカな子だね、と撫でてくれるミユにされるがまま。
どうしようもない恋をした、と嘆く私に
『いつまで経っても夏芽のモノにはならないんだよ? とっとと諦めなよ』と笑うのにも、もう飽きた、悲しくなるとミユが言う。
ミユの言っていることは絶対に正しい。
彼女のいる人を好きになった自分が悪い。
心配かけてごめん。
でも。
「私だってすぐに諦められるって思ってたよう」
ブーッって尖らした唇をミユの指がギュッと握りつぶす。
「ねえ、その顔ブスだから止めな、ね」
何て労わりのない言葉、親友って何?!
……親友って何? いつかミユから言われそうで、それは飲み込んだ。
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