ほんの少しのイジワルは

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 試着室で誰かの顔が思い浮かんだら、その誰かとは恋の相手なんだそうだ。  カーテン越しの少女は、そのことを知っているだろうか。  ――あたしは、別に構わない。 「……だったら、今度は私に見せる向きのを着てみてよ」 「別にいいけど……どして?」 「……いっしょに行くときに、イイ感じになりそうなのをあたしが着るから」 「なーる。いいよー」  あたしは長くなってきた髪で、それをごまかす。  そう――。  ――あたしは、それでも構わない。
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