異世界の世界

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古来から、地形を利用して崖上から落石して攻撃をする戦法はあったが、怪我をしない鉄騎兵を使えば、元から戦う兵士を落石の代わりにする事で、鉄騎兵の数だけ落石が出来て、しかも、そのまま戦う事が出来る。 相手に体をぶつけるという捨て身の戦法すらも、鉄騎兵なら常套手段に切り替わる……この戦法のせいで最初の拠点奪還作戦は失敗し、それからは防衛一方になったのだが、 「絶対とは言い切れませんが、私が先陣を切って周りを警戒すれば、鉄騎兵が潜んでいれば気付けると思うので、それは心配しないで良いと思います」 「心強いお言葉です」 散々、自分達を苦戦させた戦法を打ち破れるとなれば、今回の侵攻戦の勝利の成功率が跳ね上がり、指揮官として素直に喜ぶのは当たり前の話。 この先がいつもの多大な被害を出しての撤退とは違う、勝利という、苦しみが報われる時が待っているのだから、否応無しに頬が緩んだが、 「ただ……これが岩を使った落石だった場合、私は無力です」 「……安心して下さい。そこからは我々の領分です」 礼人の一言で、現実に戻される。
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