異世界の世界

108/133
前へ
/1028ページ
次へ
雨風、虫をしのげ、戦場でもプライベートを確保出来ることの有り難さ…… 「前は、みんなで共同だったからなぁ……」 元居た世界では、どこかの空き家を借りて、そこを拠点として活動するのだが、行き来している暇が無い時は車を使って、現地で野宿する事もあった。 そういう時は、6人乗りのバンに椅子に座ったまま寝るとか、資材を降ろした箱トラの荷台で寝るとか……プライベートというのは一切無かった。 「みんな笑ってる……」 外から聞こえるみんなの談笑。 それは自分の時も一緒で、ピクニック気分ではないが、談笑で楽しい時間もあったが、 「決着は早く着けないと」 日数が重なれば、集団生活が苦痛になるのは分かっている。 相手が鉄騎兵だけなら、容易く終わりもするだろうが…… 『コンッコンッ……』 「はい?」 「入っても良いかい?」 「どうぞ」 籠のドアをノックして、入って来たのは、 「もう寝てたかい」 「いえ、考え事をしていました」 籠の中に入って来たのは、フレンだった。 床に寝そべっていた体を起こして椅子に座ると、フレンも同様に椅子に腰掛け、 「今日は一日、お疲れ様」 「ありがとうございます。思っていたより敵が少なかったのお陰ですね」 二人は今日の労いの言葉を交わす。
/1028ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加