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逆を言えば、拠点を奪取するという事は絶対に血みどろの戦いに……
(……そういう事か)
敵は道中での戦いは捨て、拠点戦を仕掛けようというのだ。
「アフレクションネクロマンサー様は……攻城戦という物をした事がありますか?」
「……いえ、そういうのは一切やった事がありません」
ならば、アフレクションネクロマンサー様は今回初めて知る事になる。
仲間の命を犠牲にして城までの血の道を作り、仲間の命を犠牲にして城門の鍵を作る凄惨な情景……
さっきまで生きていた仲間が、肉で作られた人形になって地面に転がる姿は、まともな精神では耐え切れない。
それは大切な誰かが殺されたという「感情」にダイレクトに来るものとは違う、命が物になって簡単にグチャグチャにされる「感覚」。
「攻城戦となれば、多くの部下達の命を物として消費することになります……助けたいと思っても…生きて返してやりたいと願っても、それが綺麗ごとになる戦いです」
「…………」
礼人は、フレンの言葉に何かを返すことが出来ない。
なぜなら、礼人は出来損ないの人魚に仲間が連れて行かれた時、発狂したからだ。
何とか助けたい、何とかして死なせたくないと、必死に抗って自分の無力さを思い知った……
「悪魔になるんだ。冷酷に勘定するんだ。目の前の数十人の犠牲で数百人が助かる。犠牲者を出せば生きて返してやれる者達がいると……死んで来いと言う業を背負うんだ」
フレンの目には、希望のように輝く光は無かった。
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