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飢餓状態のリザードマン……そんなのに襲われたら、人間のやわな体は一瞬で奪われるだろうし、
「ちなみに、重装というのは私も着れる代物ですか?」
「オークが、攻撃を捨てて盾になる為の物ですから、アフレクションネクロマンサー様には重すぎる物かと……」
「ですよね」
そもそも、強大な力で攻撃を無効化するか、素早く動く事で相手の攻撃を躱して、こちらは一撃の必殺を撃ち込む事で倒すスタイルで戦って来た礼人に、重たい鎧を着て、攻撃を耐えるというスタイルは合っていない。
礼人は、何か対策を考えなければと頭の中を捻ろうとするが、
「アフレクションネクロマンサー様。もし、飢えたリザードマンが襲って来た時は、重装兵にお任せ下さい」
そこで、目を瞑っていたビレーが目を開けて、
「確かに、飢えたリザードマンの脅威は筆舌し難いものがあります……が、飢えている時のリザードマンは共食いをするのです」
「共食い……」
「そうです。最初は我々を捕食しようとしますが、重装兵が前に出てその身を盾にすることで時間を稼ぎ、我々を食べるよりも共食いをする方が早いと思わせれば、こっちのものです」
「なるほど、後は勝手に腹が満たされるまで共食いをすると」
「それに、腹が満たされれば理性を取り戻しますから、そうなれば、いつものリザードマンです」
対策の取り方は、十分に熟知している事を教えてくれる。
「なんの準備もしていない状態で、飢えたリザードマンをぶつけられたら脅威ですが、今回はアフレクションネクロマンサー様が事前に教えて下さったお陰で対応が出来ます」
「私達が、鉄騎兵だけに気を取られて、何も知らずに奇襲を受けていたら、甚大な被害が出ていたと思います」
二人の顔には悲壮感は無い、
「そうですか……お役に立てて良かったです」
飢えた魔龍は脅威と言えるが、それでも対策を取っていれば、襲るるに足りないらしい。
礼人は、自分の夢の中に入り込んで来た意識の話が、役に立ったとホッと一息付いて、
「出発まで時間は、ありますかね?」
「えぇ、いつもなら駆け足で進みますが、一足飛びでここまで来ていますから、時間には余裕がありますよ」
「そしたら、一度籠に戻っても?」
「もちろん、朝食は運ばせます」
礼人は、自分に割り当てられた籠へと戻る。
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