異世界の世界

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この力を一生使うなとは言わない。 しかし、使うならどうしようもならない時、若しくは……自分が犠牲になって、対策法を見付けてからにして欲しいと切に願っていて…… 「心配を掛けさせてごめんなさい…でも、力を使ったのは私達の二人分ですから」 リーフの、自分達だけの分にしか使っていないという言葉、礼人はその言葉に体に張り詰めた緊張が抜けると、ホッとする。 「あの…アフレクションネクロマンサー様……」 ホッとして力を抜けた礼人の姿を見て、気苦労を掛けさせてしまったとリーフは、何か言葉を掛けようとしたが、 「気にしないで下さい…リーフさんに異変が起きていと分かったので、ホッとして力が抜けちゃいました」 言葉を掛けられるよりも先に、礼人の方が先に微笑んでくれる。 さっきの緊張した面持ちと違った、優しい表情にリーフの言葉が消えると、二人の間に、先程までの気まずい雰囲気は消えたのだが、 「リーフさんも何となくは気付いてるんでしょ?私の命が長くない事は」 「それは……」 「これから一回一回……戦うごとに、私の命は一気に燃えていくでしょう」 礼人は、暗い雰囲気だけは残したままにして、話をし始める。 聞きたくない話。 聞かなくたって、アフレクションネクロマンサー様の左眼が水晶化しているのを見れば誰だって…… 「みんながいます!!みんなと力を合わせれば!!」 「私が、この力を手に入れたのはエルフであるアニーさんが、砕いた結晶を私の心臓で再結晶化させたからで……自分の力で手にしたものじゃなくて、人工的に作られたアフレクションネクロマンサーなんです」 「それでも志があれば、そんなのは!!」 リーフの言わんとする事を分かっていても、礼人は首を横に振り、 「でも、リーフさん、アナタは違う。私の霊力に当てられたとはいえ、自分の中で霊力を目覚めさせて、マナと融合させる所まで出来るようになっている……本当のアフレクションネクロマンサーになるのは、アナタなんです」 事実を告げる。 礼人がこの世界に来て何をし、何を望んでいるとかそういう次元ではなく、この世界自体が礼人に求めているのは、本当のアフレクションネクロマンサーを生み出すためのキーなのかもしれない。
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