15人が本棚に入れています
本棚に追加
この力を一生使うなとは言わない。
しかし、使うならどうしようもならない時、若しくは……自分が犠牲になって、対策法を見付けてからにして欲しいと切に願っていて……
「心配を掛けさせてごめんなさい…でも、力を使ったのは私達の二人分ですから」
リーフの、自分達だけの分にしか使っていないという言葉、礼人はその言葉に体に張り詰めた緊張が抜けると、ホッとする。
「あの…アフレクションネクロマンサー様……」
ホッとして力を抜けた礼人の姿を見て、気苦労を掛けさせてしまったとリーフは、何か言葉を掛けようとしたが、
「気にしないで下さい…リーフさんに異変が起きていと分かったので、ホッとして力が抜けちゃいました」
言葉を掛けられるよりも先に、礼人の方が先に微笑んでくれる。
さっきの緊張した面持ちと違った、優しい表情にリーフの言葉が消えると、二人の間に、先程までの気まずい雰囲気は消えたのだが、
「リーフさんも何となくは気付いてるんでしょ?私の命が長くない事は」
「それは……」
「これから一回一回……戦うごとに、私の命は一気に燃えていくでしょう」
礼人は、暗い雰囲気だけは残したままにして、話をし始める。
聞きたくない話。
聞かなくたって、アフレクションネクロマンサー様の左眼が水晶化しているのを見れば誰だって……
「みんながいます!!みんなと力を合わせれば!!」
「私が、この力を手に入れたのはエルフであるアニーさんが、砕いた結晶を私の心臓で再結晶化させたからで……自分の力で手にしたものじゃなくて、人工的に作られたアフレクションネクロマンサーなんです」
「それでも志があれば、そんなのは!!」
リーフの言わんとする事を分かっていても、礼人は首を横に振り、
「でも、リーフさん、アナタは違う。私の霊力に当てられたとはいえ、自分の中で霊力を目覚めさせて、マナと融合させる所まで出来るようになっている……本当のアフレクションネクロマンサーになるのは、アナタなんです」
事実を告げる。
礼人がこの世界に来て何をし、何を望んでいるとかそういう次元ではなく、この世界自体が礼人に求めているのは、本当のアフレクションネクロマンサーを生み出すためのキーなのかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!