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「私はどんなに抗っても、いつか消えてしまう存在……もう一度、言いますが……」
あの時…出来損ないの人魚を始末出来な無かった時は、その役目を引き継ぐのは、
「私が死んだ後に、アフレクションネクロマンサーを名乗るのはリーフさんです……その時が来たら、私の屍を越えて行って欲しいんです」
「そんなの……」
屍を越えていって欲しい……そこには、礼人の悲哀が満ちている。
フラミンゴを知っているだろうか?
鮮やかで奇麗なピンクの羽毛を持つ水鳥。
誰もが知っている外国の水鳥、観光の要とも言える鳥類の代表の一角と言える存在。
多くの観光客がカメラを手にして、その姿を写真に収めて、その美しさに見惚れるが、その中に鮮やかなピンクの羽を持たない水鳥が混ざる。
それは決して別の種類の水鳥ではなく、同じフラミンゴ。
偶々、白いだけのアルビノでも無ければ、色の違う近縁種でもない。
その白いフラミンゴは、年老いたフラミンゴ。
産まれた時は白い羽を持つフラミンゴは、歳を重ねるごとに鮮やかなピンク羽毛へと様変わり、全盛期ともなれば、まるでチューリップのような美しくも愛らしい姿になる。
美しく、愛らしく目を引く姿に成長したフラミンゴは、同じ若い者同士で愛を紡ぎ、次の世代を紡ぐ。
こうして、次の世代を生み出し、年が経つにつれて、歳が経っていくと、他の生物とは少し違う現象が起きる。
全盛期を迎えて、美しく着飾ったピンクの羽毛が、次第に色が落ちていくのである。
まるで写真のように、年月という劣化に抗え切れずに、鮮やかだったピンク色が薄いピンクへと変わり、さらに年月が流れて年老いた時には白髪の老人のように、少し淡いピンクを残して白くなってしまう。
それは、一目見て分かる老いと、死が近付いている色。
死に際に向けて、白装束を着込むかのようなフラミンゴも、水面に映る自分の姿に死を悟っているのかもしれない。
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