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ずっと先の、いつか来る死ではない。
死はどこかで、礼人を見ている。
それこそ、森の木々の中から……みんなが宿泊しているテントから……もっと近くで……目の前の籠のドアの隙間から、死は礼人を見つめているかもしれない。
自分の体に変化が起きている度に、死が近付くのを恐れる恐怖……そんなものを味わいたいと常人が思うはずも無く、
「リーフさん……あなたには、アフレクションネクロマンサーになって欲しというのは、もちろん色んな人から慕われる素晴らしい人になって欲しいう想いもあります……それと同じくらいの想いで、あなたには死が側にいる苦しみを味わって貰いたくない」
「…………」
リーフはその先を言えなかった。
礼人は今言ったのだ「死が側にいる苦しみ」と。
こうやって、みんなの為にと頑張ってくれる彼は、自分の掛けられたアフレクションネクロマンサー様という重責と共に、アフレクションネクロマンサー様の呪いに耐えている。
彼は、その重責と呪いを自分が一身に背負う事で、私には一切の苦しみの無い状態で、アフレクションネクロマンサー様になって欲しいと願ってくれている。
「目の前で、四苦八苦している私を見ているだけというのは、苦しいと思います…けれど……それでも、見ていて下さい。私が生きていた姿を……そして、あなた自身の為にも……」
礼人は、自分の思いの丈を……そして、自分自身の迫る運命を吐露し終えると、リーフが作ってくれたスープに手を伸ばして口を付けると、
「うん…美味しいです。いつか、私達が力を使わないでも、美味しく飲めるスープを作れるように頑張りましょう」
美味しいそうに…名残惜しそうにスープを飲むのであった。
_______
朝日が昇り切る前、
「もう一度言うぞ!!鉄騎兵の始末はアフレクションネクロマンサー様がして下さる……っが!!アフレクションネクロマンサー様の負担を少しでも減らすために、他のことは我々が処理しなければならない!!」
森の狭い道に入る前に、広大な大地に整列するエルフとオーク達に彼が声を張り上げる。
「特にだ!!今回、アフレクションネクロマンサー様が先に飢えたリザードマンがいる事を、察し下さっている!!各隊には必ず、持ち回りで重装兵がいること!!」
「「「はい!!」」」」
彼の指揮に異を唱える者は無く、一糸乱れずに返事をする。
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