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出立前の、全員の意志が統一されているのを確認してから、
「アフレクションネクロマンサー様、よろしくお願い致します」
「はい」
礼人が最前線の部隊と一緒に進行する。
最前線に出る危険性は、あの冬山での話と通ずるが、それでも礼人が最前線の部隊と一緒に行く理由はある。
礼人が一番最初に前に出れば、鉄騎兵の気配は間違い無く感じる事が出来る。
それは、森の中という気配を消して、奇襲を仕掛けるのに適した場所で、地形的優位を完全に消し去るのは、雲の中に隠れて移動している戦闘機を見付けて、迎撃するのと同じくらいのダメージを相手に与える。
奇襲は相手の虚を突くから成功するのであって、バレていては効果は半減するのは間違い無い。
そして、もう一つの理由。
いざ、戦闘になれば道が狭い為、仲間の援護は期待出来ない。
どっちかが敗北するまで戦う羽目になり、万が一、不利に状況なった時、最前線の部隊は逃げ切れずに殺される可能性がある……のだが、礼人だけは話は別、なぜなら礼人は飛べるからだ。
……ふざけた話に思えるかもしれないが、飛べるという事は礼人には地形的不利というのは皆無であり、戦況が不利になれば、みんなを見捨てて飛んで逃げる事が出来る。
そう、最前線は確かに最前線なのだが、礼人だけにはその最前線の危険が適用されない。
もちろん、みんなを見捨てて逃げ出せば、礼人の信用は天から地へと失墜するだろうが、
「それじゃ行くか!!オヤジ!!」
「そうだな…アフレクションネクロマンサー様、細かい事は私に任せて下さい」
ビレーとベルカが着いて来てくれる。
いざとなった時はビレーが殿で残り、仲間を見捨て逃げ出すという敗走を背負うのをベルガがする事になっている。
まさに、至れり尽くせりであるが、それ程までに、アフレクションネクロマンサー様の存在は軍にとっては最大の希望であり、その希望が失墜すれば、軍全体が死に体に陥る可能性だってある。
礼人に対して、手厚い保護しているように思えるかもしれないが、全体的に見て、このような判断を下しているのだ。
ビレーを筆頭にし、礼人を守るようにしながら、第一陣部隊が森の中へと侵入して行く。
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