15人が本棚に入れています
本棚に追加
少し考えてみれば分かることなのだが、家族と言っても元は赤の他人同士が結婚する。
いくら霊能者の家系に嫁いだ、または嫁を貰ったとしても霊力をおいそれと他人に教えることは出来ない。
それはに様々な理由があるが、端的にいえば人が平和に暮らすのに余計なこと……まさか身近に人を殺め、普通の人では対抗するのが難しい存在がいる等となれば人はそれに怯えて暮らさなければならなくなってしまう。
その為にも幽霊や妖怪はフィクションであり、霊能者は血縁者、息子親兄弟と言えどこの事を口外することは決して許されないのである。
これが礼人にとっての一つ目の不運であるのだが、もう一つの不幸があった。
もう一つというのは身内以外に発見して貰う方法で、霊能者というのは血筋だけでなく土地柄や、それこそ子供の時に霊に触れたことによって覚醒してしまう子もいる。
そういう子を見つけるために霊能者達は定期的に街や町に村を探索したりするのだが、礼人は霊能者の祖父が、
「礼人は霊能者としての適齢期を超えてしまったから、もう霊能者になることは無いじゃろう」
そう言ってしまったが故に霊能者の対象外として完全にはねられてしまう。
しかも、礼人みたいに妄想癖が酷い様なら普通の親ならカウンセラー等に連れて行き、そこでカウンセラーに扮する国家機関の人間が秘密裏に保護をするのだが、礼人の親は妄想癖があることを恥じて、そういう所には一切連れて行かずに表面だけを取り繕うような生活を与えていた。
最初のコメントを投稿しよう!