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アフレクションネクロマンサー様が用意して下さった武具は、鉄騎兵が柔らかいパンになったかのように叩き潰す事が出来て、それは殺された仲間の恨みを晴らす戦いだったと、生き残った者達がみんなに伝えていた。
鍛冶場を預かる身としては、そんな話を聞かされては調査しないはずも無く、その不思議な武具が、どんなに壊れていようと回収して調べたのだが、
「ちょっと、席を外す!!何も無ければそのまま作り続けろ!!……アフレクションネクロマンサー様。私も、例の武具に付いてお聞きしたかったのです」
渡された武具は全て、自分達が作ったいつもの代物で、何か手を加えたように見えなかった。
しかし、故郷で大切な人が帰って来るのを待っていたのに、その願い叶わずに項垂れてしまった人に対して話をする彼等には、いつもの悲壮感だけではなく、誇りが感じられた所から、彼等が決して慰めの優しい嘘を言っていた訳では無いのは感じていた。
一体この武具に何をしたのか、出来れば話を伺いたいと思っていたが、意識不明であった事から話も聞けなかっただのが、
「それは、丁度良いタイミングだったのかもしれません。実はその例の武具を作りたくて、協力して貰えないかと思いまして」
「それは願ったり叶ったりです」
まさに、渡りに船の申し出であった。
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